音がない

色がない

一面焦土の

世界の中

翻る青と

靡く黒曜と

染み渡る赫だけが

鮮やかに










夜陰泣涕










荒い息をつき 目を見開いたエドは 叫び出しそうになるのを 必死で堪えた

そして 飛び起きようとした自分が起きる事が出来ない事実に 漸く気付いた

深い眠りの中にあって尚 決して強くはない力で けれど 決して離さぬよう 少年の躰を包み込む ロイの両腕

腕枕のように エド頭の下に置かれた右腕と 腰に回された左腕は 優しく

激しい呼吸を押し込めるかのように 深く 一つ 息を吐き 知らず全身に篭めていた力を抜き エドワードは自分の頬をロイの胸に擦り付けた










嗚呼





いきてる










生きている

彼も 自分も





擦り付けた頬に伝わる ロイの確かな鼓動に 安堵し そろそろと ロイの背に自分の腕を回そうとして 戸惑う エド





冷たい指 血の通わない掌 機械鎧

自分の 間違う事のない 右腕





生身ではない腕で この温もりに触れても良いのだろうかと云う 躊躇

暫し 彷徨わせた右腕を ぱたり 白いシーツの上に 落とす





溜め息を 一つ





今し方見たばかりの 悪夢と呼ぶしかない夢厭に 未だ囚われたままの己に 苦笑する





嗚呼

あれは

夢の 中





嫌味な程に晴れ渡る空は 青く

焦土に佇むロイの軍服も 青く

風に晒されるロイの髪は 黒く

ゆっくりと倒れるその躰

染み付いた 色は
















飛び起きたのは 彼の 胸が 赫に 染まっていたから

叫びそうになったのは 自分の掌に その 赫が こびり付いていたから

起きて 彼がもし 隣にいなければ 間違いなく自分は 泣き喚いていた事だろう

狂気の淵に ただ独り 佇んでいた事だろう





そこまで思考を巡らし もう一度 溜め息





すると それまで深い眠りについていたロイが 眼を 開いた





「…エディ…?」





低く掠れた声は 昨夜 自分に何度も甘く囁きかけたそれと 同じで エドは 見る間に赤面した

ぼんやりと 薄く眼を開いたロイは エドの金色の髪を 梳き 微笑んで 云った



「起こしてしまったかい?」



言葉と共に 両腕に ゆるく篭められた 力

ふるふると 首を振るエドに そのままの微笑みで 良かったと呟くロイ



「俺が…ロイを起こしたんだ」



どこか弱々しく 消え入りそうな声で返す エド

ロイは金糸の髪に絡めた指を解き エドの頬に 触れる

びくりと 震える エドの躰

きつく閉じられた 瞳

瞼の上 口付けると ロイはエドの頭を優しく抱き込み そっと 撫でる

さらさらと 零れるロイの黒髪が エドの頬を 撫ぜる

くすぐったそうに眼を細めたエドに ロイが 言葉を贈る





「エディ 私は此処にいるよ」





与えられた言葉に 顔を上げれば 降り注ぐ 穏やかな口付け

嬉しさに 切な気に 身を震わせるエドを しっかりと抱きしめて

ロイは 繰り返し 繰り返し 解かれた金の髪を 撫で付ける





おもむろに ロイが エドの身を離す

エドが不安げに見上げると ロイは 微笑みながら その額に口付けた





身を起こしたロイは エドの右腕を 手に取り

恭しく

祈りを捧げるかのように

真摯な口付けを

一つ

冷え切った機械鎧に

施した





咄嗟に腕を引こうとしたエドを 躰ごと引き寄せ ロイは 囁いた





「私は 何処へも行かないよ」






「私は 此処にいるから」





何度も 何度も 繰り返し与えられる 温もり





「どんな怖い夢も もう 見る事はないよ」





だから 安心して おやすみ





込み上げる 零れ落ちそうになる 雫を隠そうとするエドを 再び腕に抱き ロイは その背を 自分の鼓動と同じリズムで 優しく叩いた

エドは 戸惑いながら ロイの背に 両腕をまわすと その胸に顔をうずめた





穏やかな声音と 鼓動に エドは睡気に誘われ その瞼を閉じた





やがて 薄紅の唇から洩れる 寝息に

エドを抱きしめたロイは エドを起こさぬよう 息をついた






「…私が ずっと 傍にいる」






エドに そっと囁くと しっかりと抱きしめ直し ロイは己も夢郷へと戻った










訪れる夜明けは まだ 遠く
































明けましておめでとう御座います。

などと云いながら、何でしょうねこの薄暗い雰囲気は。
改めて、ギャグ以外のまともな爽やかに明るい小説は自分には書けないのだと痛感させられました(長)
が。
漸く、今までしつこくつきまとっていたエドロイ疑惑を払拭出来たような気がします。
…気のせいですか。そうですか。

そんなこんなで、初の試み。
句読点を使わず、改行を沢山使って独特な雰囲気を醸し出そう!
・・・。
まんまと失敗しました(爆)
読みにくい事この上なし。
申し訳ない(本当にな)





此の駄文は、2/2を持ちましてフリー扱い解除とさせて頂きました。





斎雅 月 拝










2004.1.1

2004.2.3 改稿


















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